読書

ユージニア

ユージニア

何ともいえない不思議な本。ある暑い夏、名家で起こった大量毒殺事件。生き残った盲目の美しい少女。毒を運んだ黄色い雨合羽の男。本の雰囲気がものすごく強くて、読んでるうちにそれに呑まれてすごく怖くなった。何かのインタビューで恩田陸が、“自分の中で「Q&A」と対になっている作品”みたいなことを言ってたけど、確かに同じものを感じる。大量死が題材になってるだけじゃなくて、読めば読むほど分からなくなるところが。色んな証言や事実が見えてくるのに、真相には手が届かなくてもどかしい。恩田陸のなかでも自分が好きな路線ではないかなと思ったんだけど、意外に気に入りました。時間が出来たらもう一度読み返したいな。
風景が閉じこめられたカバーとか、斜めになった文字組みとか、凝ったブックデザインも大好きです。

<71冊目>