図書館内乱

図書館内乱

図書館内乱

図書館戦争」の続編。シリーズ化決定でまだ続くようです。メディア良化法が施行された時代、検閲によって不当に狩られる本を守るため、図書隊に入った主人公・郁とその周りの人たち。

前作は良化特務機関と図書隊との戦いが主に書かれてましたが、今回はドンパチ無くて、タイトル通り図書館内での思想の対立や思惑が絡み合った心理戦が主でした。前作よりキャラクターに焦点を当てた内容で、それぞれのキャラにすごく深みが増してます。とくに柴崎が秀逸。情報屋の彼女のバックボーンが明らかにされて、印象的だった。郁に対する気持ちとか…何だか涙が出る。本当に魅力的なキャラで、素晴らしいよ。手塚もどんどん良くなってきていて、好きです。恋愛がらみの展開も多くて、小牧の話が良かった。郁と堂上も、本人達が自覚的か無自覚かはともかく相変わらず良い感じで…二人の会話に入ると楽しくてにやにや読んでました。すげえ萌える。

内容的にも考えさせるところがあり、面白かった。少年犯罪の実名報道について取り上げてる部分があったり…あと、中立ってどういうことだろう?とか正義って何だ?とかいうことについて読みながら考えました。色んな立場の色んな考え方の人が登場するから、その人の数だけ本人にとっての正義があるし。でも郁は、最初の何も考えずに突っ走ってた頃からだんだん成長してて、良いです。郁の“本を守りたい”って気持ちは本好きとしてジンとくるものがある。

連作短編集みたいな体裁なんですが、話は続くところもあって、本当連ドラ風かも。しかも最後の章で伏線が拾われて、今後の展開に繋がって、どんどん面白くなる予感です。次が楽しみで楽しみで仕方ない。郁的にうわーーーってとこで終わってもいるし。でも雑誌でも色々書いてるみたいだし、筆の速さはそこそこっぽいね。作中作の「レインツリーの国」も出るみたいなので、そっちも読みます。

とにもかくにも、面白かった。期待以上あまりにジャストミートで、「畜生面白え!」とか叫んだり、じたばたしながら読み終えた。文章もテンポ良くて、コミカルとシリアスのバランスとか絶妙だし、最高に楽しませてくれるエンターテイメントだと思う。これを追っかけて読めるのが幸せです。「図書館戦争」も本の雑誌の上半期エンタメ1位に選ばれたらしいし、これは読まなきゃ損ですよーオススメ。

<78冊目>


何かしばらく鬱に入ってたんですが、これを読んでちょっと浮上しました(笑)。ちょっと頑張れるかも。良い本と出会うと幸せになれるね。誰にともなくありがとうと言いたくなる。