六の宮の姫君

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

六の宮の姫君 (創元推理文庫)

あまりにも有名なミステリーの名作。これまで日常の謎を扱っていたシリーズですが、今回は文学の謎。芥川龍之介の『六の宮の姫君』についての謎に迫っています。これまでも本についての描写はありましたが、今回はより深く文学について考察されていて、難しいながらも読み応えがありました。また、これまで教科書に載っていたというくらいの認識しかなかった芥川などの作家たちについて、実際のエピソードや人物像など紹介されていて面白かった。特に作家同士の関係が人の体温を感じさせて、すごく身近に思いました。相容れない部分、赦せない部分がありつつも、友として身内のように思いやり合う姿が魅力的。彼らの人生が作品の謎、そして主人公の温かい目線と溶け合って大きな物語となっています。

<68冊目>