2009-01-31 タイタンの妖女 読書 タイタンの妖女 (ハヤカワ文庫 SF 262)作者: カート・ヴォネガット・ジュニア,浅倉久志出版社/メーカー: 早川書房発売日: 1977/10メディア: 文庫購入: 17人 クリック: 288回この商品を含むブログ (249件) を見る以前、爆笑問題の太田さんが絶賛されているのをTVで見て興味を持った本。宇宙の時間と空間の軸から外れてしまった男、ウインストン・ナイルズ・ラムファード。そして彼に運命を翻弄される大富豪、マラカイ・コンスタント。壮大な物語を語る視点は皮肉に満ちて、でもどこか温かい。無限に広がる宇宙のなかで、人間の存在はあまりに卑小で、必死にもがきあがく姿は滑稽で哀れだけれど、それを愛しくも感じる。宇宙の時間に比べれば小さな点にも満たない人生でも、そこに確かに幸せや優しさがある。計算されたストーリーも美しいけど、読んでいてじわじわと温かいものが沁みてくる小説。<8冊目>