君が降る日

君が降る日

君が降る日

恋人を交通事故で亡くした主人公・志保の前に、事故のとき恋人の乗った車を運転していた五十嵐が現れた。彼を許せない志保だが、だんだんとふたりの悲しみは寄り添い合うようになる。誰の気持ちにも同調してしまい、すごく苦しい小説でした。読んでいて無意識に、こうなったらきれいだな、救いがあるな、という流れを想像していて、でもそうはならない。それが現実で、人間の切なくもどかしいところかなと思った。一緒に収録されている「野ばら」がすごくすごく切ない。最後の文がかなしく胸の中で暴れる。

<64冊目>