柔らかな頬 上

柔らかな頬 上 (文春文庫)

柔らかな頬 上 (文春文庫)

主人公のカスミは故郷の北海道を捨てた。やがて東京で家族を持った彼女は、不倫相手であり夫の友人・石山の別荘に招かれ北海道に行くが、家族の目を盗み石山と逢瀬を重ねる間に、娘が行方不明になってしまう。娘の失踪という謎もさることながら、読み手にぐっと切り込んでくるような心理描写に引き込まれる。独特の影のある小説。故郷を捨て“漂流している”と感じるカスミそのままに、追い立てられ歩みを進めるように読んだ。

<69冊目>