読書

凍りのくじら (講談社ノベルス)

凍りのくじら (講談社ノベルス)

待ちに待った辻村深月の新作。ドラえもんをモチーフにしてるっていうのはメルマガで知ってて、一体どういう感じなのか想像できなかったんだけど、読んでみるとなるほどって感じ。ドラえもんの話が全体に織り込まれて、本当に作者がドラえもんが好きなんだなって分かりますね。私はそんなに馴染みは無いので、入り込みにくいとこもあるんですが。でも面白かったです。家族がテーマの話で、主人公とお母さんとのやりとりとか泣きそうになりました。
辻村深月らしくやっぱり話の中にトリックが含まれてて、でも今回は簡単だった。読んでてすぐ分かる。でも多分、この人の場合トリックがどれだけ難解でバレにくいかっていうことはあんまり重要じゃないんだよね。すごく表現や描写が精密で現実感があって、それが読み手の心を動かすことにつながるというか。真相が読めてから話の感じ方が変わる。主人公の醒めた性格とかも、類型的にはよくある感じなんだけど書き方がすごくリアルで、だから最後に本当に感動できる。
主人公に絡んでくる元恋人とかも、すごいありそうで怖かったよ;絶対居るわこういう人間;

<83冊目>