読書

魔王

魔王

他人に自分の考えた言葉を喋らせる力を持った兄の話「魔王」と、じゃんけんに絶対負けない力を持った弟の話「呼吸」の、二つの中篇からなる本。なかなか面白かった。軽くて笑えるとこもいっぱいあるんだけど、すごいずっしりきて考えさせられます。兄の思考の流れが何か読み心地良かった。“考えろ考えろ”っていうのが。「魔王」の最後は何だか悲しいのですが、それが「呼吸」につながっていくところがいい。読んでて震えた。この物語の後にどうなるのかが気になるけど、これはこれで良いのかな。ファシズムがテーマの一つになっていて、政治家と政治の話が出てくるんですがそれがすごくリアルで、実際そうなるんじゃないかっていう気がして怖かった。

<35冊目>