蒲公英草紙―常野物語

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

蒲公英草紙 常野物語 (常野物語)

光の帝国 常野物語 (集英社文庫)』の「大きな引き出し」の春田一家のご先祖たちの物語。時代設定が20世紀の初頭になっているので、読みにくいかなーと思ったのですが、すいすい行けました。現代よりも貧しくて自然と近くて、慎ましくて長閑な時代で、温かみがあります。春田一家の力も、異端ではあるんだけど何となく自然に使われているように感じるのは気のせいかな。彼らの力の意味とか使命とか、すごく深く語られてて良かったです。光比古の言葉に打たれた。語り部は常野の人ではないのですが、丁寧な言葉で書かれてるせいか品があってきれいで、読んでいて清々しさがありました。涙が出る部分もあったけど、悲しいだけじゃなく心を動かされた。良い本でした。

<87冊目>