スロウハイツの神様(上)

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

スロウハイツの神様(上) (講談社ノベルス)

辻村深月の新刊。小説家チヨダ・コーキのファンによる小説を模倣した大量殺人事件から10年、彼は売れっ子脚本家、赤羽環とその友人たちと“スロウハイツ”で穏やかに一緒に暮らしていた。そこに一人の少女が入居し生活を始め…という粗筋。上下巻なので、上巻ではキャラクターやその過去について主に書かれています。スロウハイツに住む人達はみんなクリエイターやその卵で、小説、脚本、漫画、映画、絵…色んなものをつくる人達。圧倒的な才能を持つ者、未だチャンスを掴めない者、その関係が面白い。創作する側を志したことのある人間なら、見上げる彼らの憧れや焦り、葛藤に共感するはず。実際じりじりと悔しさが込み上げて、わくわくするような急かされているような気持ちになる。幸せだった日常に変化が起きて、どう下巻につながっていくのか、どう収束するのかが楽しみ。

出てくる作品にモチーフはあるのかな?「ダークウェル」は絶対デスノートだけど。“事件”についてはあれを連想するなぁ…何年か前にあった事件で殺人者の彼女の部屋に『GOTH』があったっていうやつ。それほど大きな話にはなりませんでしたが。あとチヨダ・コーキが西尾維新を連想させる(私だけ?)。“絶望を書く”とか、イラストがついているとかその辺が。それにしてもチヨダ・コーキの小説が読んでみたい。小説の文中で粗筋だけでも本当面白そうで悔しくなる。

<3冊目>