あなたの呼吸が止まるまで

あなたの呼吸が止まるまで

あなたの呼吸が止まるまで

舞踏家の父と二人暮らし、思春期の只中にある12歳の女の子が突然受けた暴力、そしてその復讐。島本さんの本は柔らかい優しいものが多い印象なので、この内容は意外でした。きっと傷つけられるんだろうな、と読んでいて想像がついて、そのときがくるのが怖かった。ただ暴力を受けたとき、抵抗して逃げるのではないというのが、リアルで痛々しかった。主人公が抱く恐怖や憎しみに同調して、読んでいて息が苦しくなりました。憎しみで心が燃えていても、相手にその熱が伝わらない、その隔たりが辛くもどかしい。

<81冊目>