コイノカオリ

コイノカオリ

コイノカオリ

“香り”をテーマに女性作家6人の短編をあつめたアンソロジー。女の人が書く女の人をテーマにした小説って少し苦手なんだけど、様々な切り口が見えて面白かったです。栗田有起「泣きっつらにハニー」が苦くて青くて割と好きだった。

この本、宮下奈都さんの「日をつなぐ」を目当てに借りました。「スコーレNo.4」がすごく良かったので他の作品が読みたくて。赤ちゃんを育てている若い母親の話でした。スコーレと同じく、すぐそばにある日常をやさしい言葉で書いてあるんだけど、すごく切実に心に沁みてきます。読み終わったとき、何で泣いてるのか分からないのに涙が流れた。揺さぶられて初めて、そこに心があったんだって気づくような。どこが良いっていうのを言葉で伝えようとするときっとつまらないものになってしまうと思うので、読んでみてくださいとしか言えないんですけど。宮下奈都さん、おすすめです。他にも文芸誌で色々書いてらっしゃるようですが、単行本はまだ1冊しか出ていないみたいで。もっと読みたいなぁ。

<7冊目>