リリイの籠

リリイの籠

リリイの籠

女子高を舞台にした連作短編集。出版社のレビューには“キラめく感情の交差を描き出した”とありましたが、内容はそれほどキラキラしていなくて、むしろドロっとした部分も多いように思います。豊島さんは、青春が万人にとって美しいものじゃないってことを知っていて、だから豊島さんの青春小説を読むと自分の昔を思い出して苦い気持ちになるんだと思う。出てくる少女たちは甘くて純粋だけど、現実的で残酷な面も持っている。大人の視点で書かれた短編もあるのですが、それを読んであんまり気持ちがグラグラしないのは、大人になるとそういう揺れを失くしていくからかもしれない。

<11冊目>