桃の向こう

桃の向こう

桃の向こう

タイトルと装丁のみで借りたのですが、なかなか良い本でした。ある一人の女性を挟んで奇妙に繋がっていた対照的な二人の男。大学生から社会人になるまでのそれぞれの10年を描く青春小説。偏屈で理屈屋の来栖が良いです。不器用で青臭くて、でもその必死さや絶望感を私も知ってる。その後徐々に変わっていく所も、応援したくなるし幸せな感じ。あのとき許せなかったこともきっと受け入れて、みんな大人になっていける、そんな気持ちになれる。多々良は、私が絶対関わることのないタイプなんだけど、彼の視点も違和感なくスッと気持ちが入って面白かった。たぶん学生のときに読んでいたらあんまりピンと来なかった本だろうなと思う。大人になって、面白いと思えるものが増えるのって何かいい。

<96冊目>