王国 その3 ひみつの花園

王国〈その3〉ひみつの花園

王国〈その3〉ひみつの花園

恋人である真一郎くんとの別れ、そしてその後も続く雫石の心の旅。恋人、友達、仕事仲間、関係のかたちは色々あるけれど、その形に嵌ることで人は安心して、大事なことも失っている。雫石も彼を失うときに苦しんだけれど、それでも自分の心の声に抗えなかった。目に見えるものでなく、心と魂が何を求めているかが何よりも大事だと教えられた小説でした。雫石の仕事に対する情熱がとても澄んでいて濁りが無くて好きです。それは雇い主である楓に対する愛情でもあり、そうでないもっとシビアなものでもある。片岡さんとの関係も、優しくて良い。友達のようで家族のようで、でも名前を付ける必要はない、あるがままで良いんだなと感じました。

<100冊目>