泥ぞつもりて

泥(こひ)ぞつもりて

泥(こひ)ぞつもりて

平安王朝を舞台に描かれた連作中篇集。清和天皇陽成天皇宇多天皇の御世において咲き散る、帝や后の恋。この時代の小説をあまり見かけないので新鮮。常に跡継ぎを求められ愛しい人と添えなかったり、帝の寵愛を競ったり、平安ならではの哀しく報われない想いが描かれている。3篇を通して登場する高子と暄子が良かった。憎んでいるだろうけれど、それでも情をかけることができる、女同士。

<67冊目>