夜のピクニック

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

“みんなで、夜歩く。ただそれだけのことがどうしてこんなに特別なんだろう。”

ハードカバーの方をもともと持ってるんですが、文庫も買いました。読み返してみたら、やっぱり面白いですね…私の中での恩田陸ベスト3に入ります。夜を徹して80キロを歩き通す行事、歩行祭。そのたった一日を描いてるんですが、本当読ませる。ストーリー的にも引き込まれるし、キャラクターもすごく魅力的です。戸田忍が好きだなぁ…こういう冷静なキャラクターって恩田さんらしいと思う。あと、やっぱり恩田陸はノスタルジーを感じさせる話が上手いですね。歩行祭を経験したことはないはずなのに、何故か懐かしい。子供から大人になるまえの一瞬が、すごく眩しい。初めて読んだときは大学生だったんですが、社会人になった今読むとまた違いましたね。もう二度と戻れないっていう感覚が、切なくもあり愛おしくもあります。