続氷点

続 氷点 (上) (角川文庫 (5072))

続 氷点 (上) (角川文庫 (5072))

続氷点 (下) (角川文庫)

続氷点 (下) (角川文庫)

育ての母に“あなたは殺人犯の娘”と責められた主人公・陽子が自殺をはかるところまでが『氷点』のラスト。『続氷点』は陽子が命を取りとめたところから始まります。大学に入り、生みの母への葛藤とか、実の弟が接近してきたり、兄と兄の友人の間で揺れたりとか。前作に引き続いて人間の弱さや醜さ、罪が書かれています。前作では誰より清らかだった陽子の心にさえ影が差してくる。この本はその“罪のゆるし”がテーマになっています。ただ前作で“原罪”というテーマが日常的なものに変換されて分かりやすく書かれてたのに対して、今作は超常現象的なというか、キリスト教に寄った表現になっているのが少し残念だった。それだけ難しいテーマだということなのかもしれませんが。

でも前作同様どっぷり世界に浸かって読み進められて、面白かったです。ドラマでは終わりに納得がいかなかったのですが、話が少し変えられていたみたいで、小説を読んだら、仕方の無いことだったのかなぁと。切ないけど運命だったのかなと思いました。

<19、20冊目>