塩の街

塩の街

塩の街

有川浩のデビュー作のハードカバー版。電撃文庫版もだいぶ前に読んでたんですが、全面改稿+その後の短編を追加ということで、読んでみました。内容忘れかけていたので新鮮。電撃文庫版のときは正直あんまり好きくなかったんですが、今回は結構楽しんで読めました。多分イラストがあんまり好みじゃなかったんだな;かわいい系?で特に真奈が幼い感じで、話が恋愛方向にいくのについていけなかった;ハードカバーで改めて文のみで読んでみたら、恋愛も有川さんらしい感じでスッと入ってきました。話的には、自衛隊三部作の“陸”の話になります。突如空から巨大な塩の結晶が落下、それと同時に人間が塩になってしまうという謎の奇病が蔓延した時代という設定。特に短編の中の野坂夫妻の話は良かったです。自衛隊員同士の恋愛で始めは「クジラの彼」のような感じで良いんですが、後半の塩害が始まってからの描写が刺さりました。救われない、誰も悪くはないけれど降りかかってくる不幸。真っ白に綺麗には生きていけなくて、ずるくて汚い部分も持ってて、でもそういう自分を知っているなら、きっとそれで正しい。

<58冊目>