悪人

悪人

悪人

福岡と佐賀を結ぶ峠で、一人の女性が殺された。被害者、加害者、そして彼らを取り巻く人間たち。彼らの姿を見ていくことで、一体誰が悪人なのかが分からなくなっていく。殺したのも殺されたのも人間だということが、ずっしりと重く心にのしかかってくる。九州を舞台にしていて登場人物の台詞が方言なんですが、それが生々しい印象を与えて臨場感があります。地方の閉塞感の中で、破滅に向かう絶望感と、家族や大事な人に対する愛が、切なく描かれています。かなり分厚いのですが、引きずり込まれるように一気に読みました。

<33冊目>