アレグリアとは仕事はできない

アレグリアとは仕事はできない

アレグリアとは仕事はできない

多機能複合機アレグリア。不具合が多く、すぐに機嫌を悪くして動かなくなるこの印刷機と、それに怒りをぶつける主人公、と周りの人たち。主人公の真剣な怒りが滑稽に見えて面白いけど、たかがコピー機に振り回され戦わなければならない労働者の悲哀や切ない足掻きみたいなものが感じられて、痛く刺さる。ある人のキレ方が、読んでいてすごく分かると思った。道を外れる瞬間みたいなもの。併録の「地下鉄の叙事詩」も痛い。やるせない苛立たしさと、でも諦められない見捨てきれない何か。

<50冊目>